As you like

 

 

 

 

 

我侭で傲慢でプライドの塊の様な男。

 

彼はいつでも完璧で人を寄せ付けない。

 

美しい容姿に生まれ持った才能、絶対的な自信。

 

誰もが彼の前で足を止める。

 

 

「忍足、そろそろ時間だぞ。」

 

 

彼はそんな自分を客観的にどう思っているのだろうか?

 

自分は完璧だと思っているのだろうか?

 

 

「あぁ、分かったわ。

 

ヒラ部員にも連絡しとくわ、今日はもう終りやて。」

 

 

彼はいつも完璧だ、誰がどんなに優れ様とも彼には敵わない。 

 

 

「なぁ帰りにファミレス寄って行かへんか?

 

せっかく早く部活終わったし。」

 

 

俺は人に埋もれている、誰にも気づかれないくらいに埋もれている。

 

彼に対抗する事もせずに埋もれている。

 

 

「いいぜ、宍戸と鳳も呼ぼうぜ。」

 

 

岳人には気を使わなくてもいいから落ち着く。

 

そのままでも俺を受け入れてくれる。

 

 

「そうやな、宍戸も跡部に試合挑んでないで

 

たまには休んだらええのに。」

 

 

 

正直宍戸の懸命さが羨ましいと思う。

 

自分には無い懸命さが羨ましい。

 

 

 

「そうだよな、跡部も面白がって付き合ってやがるし。」

 

 

 

付き合ってる。

 

そうだ、あいつ等は付き合ってるんだった。

 

岳人は知らないかもしれないが付き合っていると。

 

 

「俺は何かに憧れる事なんてないと思ってたけど

 

ラブロマンスに憧れてるんやで・・・・。」

 

 

「どうした?侑士。」

 

 

「イヤ、来年は俺らも高校生やからな。

 

少し色恋沙汰が欲しい年頃やん?

 

だからつい口に出てしもうたんや。」

 

 

 

ウソは得意な方だ。

 

誰にも気付かれない自身がある。

 

 

 

「よぉ、忍足に向日。」

 

 

 

宍戸の声に心臓が止まりそうになった。

 

アイツは俺の持っていない者を手に入れた。

 

プライドの高いアイツを手に入れた。

 

 「宍戸か早かったな。

 

鳳はどないしたん一緒やなかったんか?」

 

 

「あぁ、それなら・・・・。」

 

 

言わなくとも分かる。

 

お前は跡部と一緒にいたと知っている。

 

 

「忍足、こんなところでサボっていたのか?」

 

 

「何で跡部がおんねんな・・・・。」

 

 

「一緒に付いて来やがったんだよ。

 

部長に内緒で集まるとはどうとか言いながら・・・。」

 

 

宍戸と一緒にいた事を隠さないのは

 

俺たちが感づいていないと思っているからか

 

それとも只の偶然か。

 

本当に2人は付き合っているのか?

 

 

「宍戸、跡部の首に何かついてるで?」

 

 

宍戸は慌てていた。

 

それは憎かった。

 

 

「これか?

 

ジュースのシミだな・・・。

 

しかしいつついたんだ?」

 

 

 

お気に召すままに

 

 

 

俺なら跡部にそう言うわ。

 

宍戸みたいに詰まらない意地ははらない。

 

でも意地をはらない奴に跡部は様は無いみたいやな。

 

 

「宍戸さん!」

 

 

今日もこのまま時間が過ぎる。

 

 

「樺地に鳳と・・・慈郎。

 

日吉はどうした?」

 

 

「日吉は家の用事だそうです。」

 

 

「じゃあ行くか?」

 

 

 

 

お気に召すままに。

 

ただそのくらい好きやって言いたかっただけや。

 

でも言わへん、言ったらおしまいやからな。

 

 

「おい侑士、今日こそアレにチャレンジするぜ。」

 

 

「無理やから止めといた方がええで?」

 

 

今はこの時間が大切やから。