BOYS NEXT DOOR

 

 

 

 

 

Door.3 自由、それが彼

 

 

 

 

 

「へぇ、お前があの四天宝寺中にいたのか。」

 

 

宍戸は忍足が跡部を怒らせたと知って、

 

わざわざ忍足のクラスにまでやってきた。

 

そういう俺も中々、図書室に来ない忍足に痺れを切らして

 

クラスに乗り込んだところだった。

 

 

「あぁ、そうやで。

 

関西では名前が知れ渡たってたんやで。

 

西に忍足アリってな。」

 

 

「・・・ほう、でも全国経験者が

 

うちに来るなんて以外だったぜ。

 

関西から移るなら立海だと思ってたのに。」

 

 

忍足は笑いながら言う。

 

 

「まぁ立海は神奈川やし、家族と放れて暮らすのはちょっとな。」

 

 

宍戸は“あっ”という顔をしていた。

 

そして見る見るうちに顔を紅くした。

 

 

 

「そうだよな、東京でならうちが一番だしな。」

 

 

宍戸は少し抜けているところがある。

 

いつもは突っ張っていて偉そうな態度なのに

 

そういうところがあるからか、跡部みたいな嫌なイメージは持たせない。

 

 

「忍足、跡部には謝っといた方がいいぜ。

 

アレでも潔癖な完璧主義者だから、

 

お前みたいな軽い奴には厳しくされるぜ。」

 

 

「まぁ部活は厳しいほうが良えし、

 

謝る必要なんてないんとちゃうかな?

 

それに姫さんの帝王さまを怒らせれば俺にも

 

チャンスは巡ってくるはずやからな。」

 

 

忍足の能天気な答えに項垂れていると

 

宍戸も負け時と検討違いなことを言い出した。

 

 

「跡部の女関係で怒こらせたのか?

 

ていうか、あいつ女なんていたか?」

 

 

「まぁ、そんなところや。

 

宍戸も可愛ええな。

 

純粋無垢っていうのはお前のためにある言葉や。」

 

 

忍足に何を言っても無駄だと思った俺は

 

とぼとぼと自分の教室へと戻っていった。

跡部も短気だけど、忍足の能天気さにも呆れる。

 

水と油ってたとえがぴったりな人物を俺は始めてみた気がした。

 

教室に帰れば跡部が鬼の様な顔をして忍足のことを

 

聞いてくるのかと思うとぞっとした。

 

それと同時に何で俺が2人のことで悩んでいるのかと腹が立った。

 

よく考えれば自分は部外者であると気付いてしまった。

 

 

「お〜い、岳人ぉ。」

 

 

背後から慈郎の声が聞えた。

 

いつもなら教室の机で顔を埋めているのに

 

今日は珍しく目が覚めていた。

 

 

「なんだよ、ジローかよ。

 

いきなりなんで跡部かと思っただろ。

 

脅かすなよな。」

 

「ゴメ〜ン、でもさっき跡部が怒ってたみたいだからさぁ。

 

しかも転校生のことで榊監督にいろいろ愚痴ってた。」

 

 

あの跡部が自分の監督責任を問われること何て言うとは思えない。

 

もしも言うとしたら、跡部の責任にならない範囲のことだと思う。

「ジロー、跡部の奴、何て言ってた?」

 

 

「そんなの思い出せないよ。

 

オレだってちょっと聞いてただけだし。

 

その後、すぐに寝ちゃったし。」

 

 

肝心の跡部が教室から出てきた。

 

あと10分程度で次の時間が始まるのに、

 

急いで階段を駆け下りていった。

 

 

「・・・跡部?」

 

 

「跡部、いっちゃったね。」

 

 

「なぁ跡部って結構、おもろい奴やな。」

 

 

忍足が俺たちの教室から出てきて話掛けてきた。

 

さっきまで自分の教室にいたはずだったのに。

 

 

「さっき真っ赤な顔して走っていってしもうたわ。」

 

忍足はそういう奴なのかも知れない・・・。