身長測定
背が高くなり始める、二次成長期。
それは越前リョーマも例外ではない。
テニス部でレギュラー、平部員を含めて一番背の低かった
越前の背が伸び始めたのは海堂薫が部長になった時、
つまり三年生が引退した全国大会後だ。
二年生はすでに全員、170cmを超えている者が多く占めている。
「先輩、海堂先輩。
このポール、どうします?
乾先輩が置いていったんですけど、これ乾先輩の私物っすよ」
「まぁ先輩が好きなように使えと言ったんだ。
俺たちで使うことにしよう」
越前リョーマは赤と青と黄色のコーンポールを肩に担ぎながら
海堂に聞いてきた。
それなりに高価な物だが、乾は
「先輩からのプレゼントだ、好きなように使うといい」
と半ば無理矢理に部室の隅に置き去りにしていったのだ。
あの強烈なトレーニングは乾が居なくなった今では
自主的にやろうとする者はいないだろう。
乾の後を継ぐと意気込んでいた堀尾も二年の先輩がいるうちは
激しいトレーニングメニューは考えては来ないだろうと海堂は考えていた。
「おい、海堂。
この大量の赤と青のボールもどうする?
ラインの中だけ染められてるボールだけど、
練習で使うのも色が気になって試合には使えないしよ、
それに大量すぎて、どうしたらいいのか」
桃城武の手にはカゴに入れられた大量のテニスボールがある。
色が塗られてしまっているということで海堂も頭を悩ませていた。
「まったく乾先輩の小道具には世話が焼ける」
といつものように海堂はフシューと溜息を吐き出した。
「おい、こんな物も置いてあったぜ。
身体測定する奴」
「それは保健室の要らなくなった奴っすよ」
桃城は隣で答えた越前を身長測定した、
半ば無理矢理に。
「越前は158cm。
7cmも伸びてるじゃねーか」
部室の前で背を測る桃城と越前、そして海堂。
全員、越前の身長の伸びに驚いていた。
「半年で7cm。
俺たちが抜かされるのも時間の問題かも知れないな」
海堂が呟くと桃城も
「そうだな」
と苦笑いをした。
二人が現在の身長に達したのは一年の冬頃だった。
二年になった今も少しずつは伸びているが
一気に背が伸びる期間は終わったのだろう。
「でも二年の時の手塚先輩はすごかったな。
関東大会前は162cmだったのに、関東大会が終わったら
175cmまで伸びてるんだからな」
桃城は溜息を吐いて手塚の伸びた位の身長を手で表した。
「入学当時は148cmって聞いていたが、まさかな」
海堂もそう呟くと越前は
「俺よりもチビだったんじゃん」
と満足気に身長測定機から降りた。
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