アンドロイド 〜ANDROID〜
 

 

 

 

 

最悪の日 A BAD DAY

 

 

「越前リョーマ、お前が例の一年生レギュラーか」

 

 

越前リョーマの前に見知らぬ男が仁王立ちしていた。

テニスの名門校、青春学園でレギュラーを取った一年生は

ここ数十年では彼が初めてだった。

そのせいか先輩に絡まれることも少なくなかった。

彼の目の前に立っている男もその例外ではない。

 

 

「なんすか、先輩。

俺早く帰らないといけない用事を頼まれてるんですけど」

 

 

リョーマは適当に先輩をかわす技術を持て合わせてはいなかった。

普段から生意気なその態度が災いしてか、

その先輩はリョーマの胸倉を掴み叫んだ。

 

 

「ふざけんなよ、越前リョーマ。

お前の態度が2年の間で問題になってんだ」

 

 

先輩の言葉を聞いたリョーマは荒井のことを思い出した。

入部したてのころにいきなり勝負しろと言ってきた1つ年上の先輩で

卑怯なことにリョーマには古いガットの緩んだラケットを

使用させて試合させた。

 

 

「で、俺の態度がどうしたの。

嫌なんだよね、自分が弱いからって年下に当たる奴って。

しかもアンタ下っ端でしょ。俺の前までわざわざ来るなんて」

 

 

先輩はリョーマの胸倉を掴む力を強くした。

リョーマに事実を言われたからだろう。

言葉も出ずに一滴の汗を流した。

 

 

「アンタ、分かりやすすぎ・・・

 

 

その言葉を最後にリョーマは道路に投げ出された。

いつもは車の少ない時間帯のはずなのに

今日は運悪く一台の乗用車がもうスピードで突っ込んで来た。

リョーマは急ブレーキの音を聞いたのを最後に視界が闇に覆われた。

 

 

 

 

 

越前リョーマ 享年12歳。