アンドロイド 〜ANDROID〜
雨続きの日 RAINEY DAY
ぽたぽたと点滴が落ちる音がする。 私が生まれた時もこんな音がしていた。その日も雨だった。 ガラスの向こうには黒い髪の男の子が眠っている。 博士は彼は死んでしまったと言っていた。 でも私なら直せるとも言っていた。 私もこんな治療を受けたらしい、でも私にそんな記憶は残っていない。 博士が男の子の側に近付いて点滴をしていない方の腕に注射を打った。 男の子は顔を歪めてからゆっくりと瞳を開けた。
「ここはど・・・。頭が痛い・・・」
「病院ではないね、君は死んでここに運ばれて来た」
「俺、死んだのか・・・。でも こんなにはっきりと意識がある。死んだなんてウソだ・・・」
男の子が私の方を見た。すると顔を歪めて呟いた。
「あの・・・何で繋れてるの・・・」
私の背中には太いコードが何本も繋っている。 人は私を気持ち悪いと言うと博士に教えてもらった。
「彼女は桜乃、私の最初の作品だ。 プロトタイプのせいか、彼女はあのコードなしには生きていけないんだ。 でも君は違う。 人と同じように生活できるし、人の数倍の身体能力と 疲れない体を手に入れた。君は今、すべてを手に入れたんだ。 これからどうする」
「俺は・・・」
私はここから出たいと心の中で叫んでいた。 この無数のコードを振り切って外の世界に行って見たかった。
「俺は元に戻りたい。 まだやり残したことがたくさんあるんだ。 親父も抜いてないし、部長も抜いてない。 まだ・・・。」
私の声は虚しくも口には出せなかった。
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