アンドロイド 〜ANDROID〜
 
 
 
 
 
 
 

変わらない日 Don't Change Day

 

 

 

「あっリョーマ様、おはようございます」

 

リョーマのファンだと名乗る小坂田朋香という

少女が話しかけてきた。

 

「おはよ」

 

「おい、越前。

お前、もう退院できたのかよ。

よかったじゃん」

 

同じテニス部の一年の堀尾やカチローも走ってきた。

 

「あぁ、まあね。」

 

「菊丸先輩も大石副部長も心配してたぜ。

越前の親父さんから軽症だって言われてたのに」

 

「リョーマくん、もう地区大会始まってるけど

大丈夫なの、体の方は」

 

リョーマは自分の足元を見た。

 

「あぁ、ほとんど大丈夫みたい。

事故った時も捻挫もしてなかったみたいだし」

 

堀尾たちはリョーマをマジマジと見つめた。

少しだけリョーマの変化に気付いたのである。

 

「越前、少し身長地縮んだんじゃねぇーの

ほら、俺よりも低くなってる」

 

堀尾はリョーマの後ろに回って背を比べた。

 

「・・・本当だ、でもそれは堀尾くんの背が伸びたからで

リョーマくんの背が縮んだ訳じゃないんじゃないのかな」

 

カツオの言葉に堀尾は反論する。

 

「でも俺の身長は伸びてないぜ。

今日、保健室で計ってきたけどよ」

 

「え〜、でもリョーマくんの身長が縮むなんてことあるの」

 

「リョーマ様は背が低くてもカッコイイのよ。

もう、本当にアンタたちってバカね」

 

四人の会話にリョーマはついていけなかった。

ただ呆然としているといきなり朋香が声を荒げる。

 

「そういえば入学から一度も学校に来てない生徒がいるのよね。

丁度、入学式の前の日にリョーマ様と同じ場所で

事故にあった子なんだけど。

実はその子、もう死んでるってウワサがあるの。

名前は竜崎桜乃、私と同じクラスなんだけどね。

なんでも両親がまだ娘は入院中だって言ってるらしいけど。

リョーマ様と同じ大学病院に入院しているってウワサだけど

その子の名前の書いてある病室なんてなかったのよ」

 

リョーマは息を呑んだ。

桜乃という名前と事故にあって死んだという女の子。

あの病院にいたあの子そのままだった。

朋香が気付いている以上、自分の噂が広まるのも時間の問題だと思った。

 

「それで、その子は死んでるの、生きてるの」

「生きてるんじゃないかしら、だって両親がウソつくワケないもの。

それに娘が死んじゃってたら、お葬式だってするでしょ。

ただの噂よ、きっとまだ見たことのないクラスメイトの

噂を流したかったんでしょ」

 

朋香は学校のチャイムが鳴るとリョーマに言った。

 

「リョーマ様、今日は練習観に行きますね。

だって今日はリョーマ様の退院記念でもあるんですから」

 

 

リョーマは呟いた、「あの子はもう学校にはこられないのか」と。