アンドロイド 〜ANDROID〜
 
 
 
 
 
 
 

外に出る日 A day go to OUT

「ここから先は私1人で行けるから先に行ってて、

直ぐに追いつくよ。だってまだ身体が慣れてないだけだから」

竜崎は笑いながら俺の背中を叩いた。

その所為で竜崎の小指がパキっという音を立てて折れた。

竜崎の身体のほとんどは俺と違って生身ではない。

それは竜崎の合った事故の凄まじさを感じられる。

右腕から斜左下に掛けて竜崎の身体は特殊なモノでできている。

「・・・やっぱりまだ早いよ。

身体もちゃんと定着してないし、それに体力も回復してない」

「大丈夫・・・」

竜崎は力なく答えた。

壊れた竜崎の小指は俺のポケットに入れられた。

「これくらいなら接着剤で直せるけど、

万が一のことも考えると・・・」

「大丈夫だよ、私は平気・・・。」

竜崎を引きずるように学校に向かうと竜崎を俺の隣の席に座らせた。

すると小坂田や堀尾たちが近付いてきた。

「本当に生きてたんだ、竜崎桜乃」

小坂田には悪気はないと思うけど、少し不快に感じた。

一度死んだ人間だからだろう、俺の気分は最悪だった。

「私が死んだ?」

「そうそう、アンタ死んだって噂たってたの。

だって入学式にもこないで2ヶ月も学校休んでたんだから。

それに入院していたが医学病院では私がアンタの変な姿見てるし」

竜崎は小坂田をただ見上げていた。

「でもアンタが死んでなくってよかったわ。

危うくリョーマ様に嫌われちゃうところだったじゃない。

私は小坂田朋香、アンタの後ろの席だから困ったら何でも聞いて?

それから私の隣でリョーマ様の後ろの席が堀尾。

席は離れちゃってるけど、カチローとかカツオもいるから

何でも聞いてやってよ。

どうせテニスでは雑用係だしね。」

「私、竜崎桜乃。よろしくね。」

自分の中で何かが弾けた。

今までは自分の身体のことがバレないようにと

気遣いながら学校生活を送ってきた。

でも竜崎はそれを自然とこなしているからだ。

「リョーマ様は冷たいから、私が面倒みてあげないと」

「冷たいって・・・」

「リョーマ様は冷酷な感じがたまらないのよ」

竜崎はこの日から小坂田と行動し始めた。

俺の練習も2人で見に来るようになったし、

堀尾たちとも仲良くやっている。

今では俺よりも小坂田との方が仲が良い。

「越前、今日は動きが鈍いぞ」

「大石先輩、ちょっと体調すぐれないっす」

「そうか、今日は無理はするんじゃないぞ」

「大丈夫っすよ、ただの寝不足ですから」

そんな毎日が続いて行くと思っていた。

俺の身体の変化が起こらなければ。